藤井製桶所
藤井製桶所

久しぶりに使用する傷んだ木桶を、奥丹波から堺の藤井製桶所までトラックで運びました。そこはこの国に唯一現存する、木製の大桶を作成できる職人工房。積み上げられたアンティークな部材や使い込まれた専門用具からは、時を越えて職人の息遣いが伝わってきます。

そんな空間で桶師たちは、持ち込んだ木桶の状態を瞬時に判断し修繕の方向性を決め、ただちに仕事に取り掛かかりました。桶を逆さにして締め直す準備にかかるもの、交換する箍(タガ)を編み始めるもの、その場にいる職人たちは皆、お互いの仕事の流れを読んで、要所々々で集まってきては協力し、メジャーを持って測ることもないのに、僅か二時間の早業で寸分の狂いもなくひとつの木桶を再生したのです。

1960年代、地方の酒蔵にはまだ木製の大桶がたくさんありました。秋になると近所の桶屋が先に蔵入りし、長い青竹を割って緩んだ大桶の締め直しに取りかかる。それで新しい酒造りの季節が始まるのを感じたものです。

今、この21世紀の時代に奥丹波の地に木桶仕込みが復活することで、忘れ去られた大切なものを取り戻すだけではなく、伝統を越える新たな希望となる日本酒を醸したい。それが藤井製桶所の桶師たちの仕事に報いることだと信じてやみません。

藤井製桶所

電話:072-271-2002

製造している道具
木桶

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