ガレットと日本酒 和洋の垣根を超えた出逢い

煉瓦に飾り窓、まるでヨーロッパの街角の佇まい。鴨がワインを飲んでいるライトブルーの立看板が目印だ。一見洋風だが、店内はそば殻を練り込んだ漆喰に麻の紋様、京の古い建具といった和のテイストも散りばめられている。

この店のメインディッシュはガレット。フランス北西部の郷土料理だ。その昔、かの地は小麦の質が良くなかったため、中国から伝わった蕎麦を粉にして生地を作ったのが始まりとか。クレープより歴史は古いらしい。それが今では大阪の福島区で自然派ワインを片手に楽しめる。そのワインリストに奥丹波の自然酒「雄町米」がエントリーしているので、是非マリアージュをお薦めしたい。優美な香りと抜群のキレ味が、ワインとは違う喜びをもたらしてくれる。

メニューは国産の蕎麦粉と河内鴨、そして新鮮野菜を素材にした独自の世界。カウンター越しのオープンキッチンで若きチーフ・吉良直起さんが調理、提供する。この日いただいたのは夜のAコース。前菜、たたき、レバーは酒のつまみにもってこい。蕎麦の実100%のリゾットは、目の前に置いてからチーズに焦げ目をつけてくれるので、香ばしさが引き立つ。そして主役のガレット登場。丸い鉄板の上に薄く広げた生地を四角に折りたたみ、その上に鴨のローストを載せソースをトッピング。フレッシュで旨みの凝縮した鴨肉と石臼で粗挽きした蕎麦粉の素朴な風味が絶妙にマッチして、ただただ美味しい。〆の一品には梅田の街中で採取される蜂蜜、大阪ハニーを使ったカンノーロ(シチリア島のデザート)や、近くの姉妹店・藤乃で打つ蕎麦が人気だ。コース以外の月替わりの創作料理もそそられるが、カジュアルに楽しむならランチタイムがお手ごろ。

さて“foujita”はフランスではこの綴りで「ふじた」と発音する。オーナーの名だが、和洋の垣根を越え美味を追求する、この店にふさわしいネーミングだと感じながら食後の満足感に浸ったのだった。

foujita

フジタ

〒553-0003 大阪市福島区福島3-9-15 → google mapで見る
TEL:06-4799-0240 / ウェブサイトを見る

【営業時間】
11:30-14:00/17:30-22:00(L.O.) 定休日:なし

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