丹波柏原(かいばら)の路地にたたずむ夫婦で営む手料理屋は、昼も夜も客足の途絶えない繁盛ぶり。その昔、アメリカの日本領事館でコックだった祖父が開いた店は、現店主・出野昌布(いでのまさのぶ)さんで三代目。昌布さんは大阪の老舗割烹と北新地の創作料理店で修業の後、丹波に戻り稼業を継いだ。

田舎家の朝はまず出汁を取ることから始まる。この出汁で仕込むうどん・そば・出汁巻等が定番で、創業期より続く巻き寿司と麺のセットが昼の一番人気。夜には会席や鍋物をはじめ、ちょっと懐かしいご馳走が並ぶ。特にお酒のすすむのが魚の煮付けで、季節に応じカレイ、ブリ、イサキ等を仕入れ、合わせて煮炊きする旬の野菜もまた美味しい。一見穏やかでおっとりした風の昌布さんだが、全てを自分で手掛けないと気が済まない職人気質で、黙々と厨房に籠もって仕込みにあたる。

店を切り盛りするのは妻さくらさん。はるばる徳之島から丹波へ嫁いだ。笑顔で「私、主人の料理が本当に好き!」と言う素直さが素敵な島の女だ。そういう彼女は最近、利き酒師の免許を取得、様々なタイプの日本酒と料理のマッチングに取り組み、常連さんから「さくらセレクトで!」と酒のチョイスを任されるまでになった。酒の味に目覚めたのは夫婦で「奥丹波・純米大吟醸」を飲んだのがきっかけ、というのも蔵元冥利に尽きる。温かみのある気取らぬ雰囲気に包まれ、心と手間をかけたおかずを肴に、今宵も杯を傾ける地元客で店はにぎわう。

丹波旬菜 田舎家

たんばしゅんさい いなかや

〒669-3309 兵庫県丹波市柏原町柏原168-2 → google mapで見る
TEL:0795-72-0311 / ウェブサイトを見る

【営業時間】
月、金 / 17:30~22:00(料理L.O. 21:00)
火~木、土、祝日、祝前日 / 11:30~14:00(料理L.O. 13:30)17:30~22:00(料理L.O. 21:00)
【定休日】
日曜

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