奥丹波の山を源流とし播磨の海に注ぐ加古川。その名の街に「奥丹波」が呑める店がある。JR加古川駅から北へ歩いて20分、西の法隆寺と称され聖徳太子開基伝承をもつ古寺「鶴林寺」の西裏手にある「かたりべ」。ドアを開けると木目のカウンター、革張りのスツールが12席並ぶ。店は夫婦二人で営み、気軽に入れる雰囲気。大振りのグラスで提供される「奥丹波」はこの店だけの仕立てで蔵元から直送される純米酒と純米吟醸酒。

マスターの三瀬積さんは熊本生まれ。幼少期に関西に移住、長じて大阪梅田の大手百貨店で酒類のバイヤーを務め、同じ食品部の奥様と所帯をもった。偶然ながら奥様も鹿児島生まれの大阪育ち。当時の思い出は帰宅すると食卓にならぶ温かい手料理。人生の節目で転職を考えた時に、料理上手の妻と自分の経験と知識を生かして居酒屋を営むというのは自然な選択肢であったのだろう。出身地が縁で二人が探し取り寄せた鹿児島の赤鶏の刺身、肝刺身、熊本の馬刺し、長崎のつまみ飛魚、天草の燻製かまぼこは鮮度と旨みが際立つ酒の肴にもってこいの品々。鹿児島産の醤油も薬味と合わせて独特の美味を演出。そして奥様お手製の料理が驚きのリーズナブルな価格でカウンターに並ぶ。

実は三瀬さん、甲子園常連の強豪校に入ったが、硬式ではなく軟式野球部のエース兼キャプテンとして活躍。変化球が武器だったそう。今、厳しい業界にあって飄々として働く姿は、高校時代、騒ぎをよそにクールに打者を打ち取る姿を彷彿とさせる。それでいて心の内は温かで溢れる熱情を垣間見せる人。本音を語る場所にしたいという願いが込められた「かたりべ」は、今宵も肩の荷を下ろしにやって来る客がドアを開けるのを静かに待っている。

わいわい酒家 かたりべ わいわい酒家 かたりべ わいわい酒家 かたりべ わいわい酒家 かたりべ わいわい酒家 かたりべ わいわい酒家 かたりべ わいわい酒家 かたりべ わいわい酒家 かたりべ

わいわい酒家 かたりべ

わいわいざかや かたりべ

〒675-0031 兵庫県加古川市加古川町北在家581-3南4号 → google mapで見る
TEL:079-427-5962

【営業時間】
月曜〜土曜 17:30~23:00(LO22:30)
【定休日】
日曜

ページTOPへ